コラム

【2019-2020】レアル・マドリードのシーズンを振り返る~リーガ奪還とCL16の壁再び~

2019-2020シーズンのレアル・マドリードは3年ぶり34回目のリーガ優勝を手にした一方、CLはトーナメント初戦で敗退。評価が難しいシーズンとなった。

今月末から新シーズンに向けたトレーニングが開始されるレアル・マドリード。

その前に今回は2019-2020シーズンを振り返る。

プレシーズン、ダービーで7失点の惨敗

前年の2019-18は最悪のシーズンだった。首位バルセロナに勝ち点差19を付けられリーグ3位。

そんな悪夢を乗り越えるべく2019年3月ジダンを再び招聘。約360億円もの大型補強を敢行し、アメリカでのプレシーズンマッチに臨んだが結果は散々なものだった。

初戦バイエルン戦を1-3で落とし、3試合目となったアトレティコとのダービーマッチでは3-7の惨敗。

相手がグリーズマンやゴディンといった主力が抜けメンバーが大きく変わったばかりだったにも関わらず、プロとユースチームかのような戦いでの大敗は衝撃的だった。

早々のクライシス

リーガ開幕節セルタ戦は勝利を収めたものの3節終えた時点で1勝2分け。暗雲が立ち込める空気だったが、本格的にクライシスが叫ばれたのはCLグループステージ初戦のPSG戦だった。

PSGホームで3-0の完封負け。

ジダン解任論までにわかに囁かれ始めた。無論メディアが騒いでいるだけで、クラブが本当に動き始めるところまでは行っていなかっただろうが。

シーズン終了後となった今では、この時にもしジダンを解任などしてしまっていたらと思うとぞっとする。

2人の若い救世主

低迷していたチームにエネルギーを与え、活気をもたらしたのはバルベルデとロドリゴだった。特にバルベルデの躍進は目覚ましい。

第6節オサスナ戦で初めてスタメン出場すると、チームに欠けていたダイナミックなプレーを見せ、コンディションの上がらなかったモドリッチを抑えてスタメンを勝ち取った。この時期バルベルデがファーストチョイスというのは誰もが納得の采配だっただろう。

そしてロドリゴ。

バルベルデほどコンスタントに出場機会を与えられることはなかったものの、CLガラタサライ戦でのハットトリックはロドリゴのキャリアにおいて今後も語り継がれるだろう。

そしてこのロドリゴの活躍は、シーズン後半に向けて存在感を示していくヴィニシウスに良い刺激を与えたのかもしれない。

らしからぬ堅守、スーペルコパ優勝と21戦無敗

バルベルデやロドリゴの躍動もあり復調したマドリーは、10/22CLガラタサライ戦から2/1リーガ22節アトレティコ戦まで21戦無敗を記録。

その過程ではマドリー、バルサ、アトレティコ、バレンシアの4クラブが参加したスーペルコパで優勝。

アウェイで大敗していたPSGにはホームで2-2。終盤2点追いつかれたことが悔やまれるものの内容では圧倒しており、前後の連勝からもポジティブな雰囲気は変わらなかった。

一つ問題があったのは、この試合でムニエとの接触で負傷したアザール。

3カ月の長期離脱、そして2月にも同様の箇所を負傷で再び長期離脱。復帰後もシーズン終了時まで足首の痛みに悩まされるなど、結果的にはアザールの今後のキャリアに大きく影響しうるものとなってしまった。

歯車が狂い始めたソシエダ戦

シーズンの中頃には”今季のマドリーは失点が少ない堅守なチーム”というイメージが定着していた。

だからこそ2/6コパ準々決勝ソシエダ戦での4失点敗北は衝撃的だった。マドリーからレンタルで武者修行中のウーデゴールに先制弾を決められ、その日2得点のイサクを止めることもできなかった。

結局3-4のスコアでコパ敗退。この試合からマドリーは今季2度目の危機に陥ることになる。

ソシエダ戦以降7試合で、2勝1分4敗。この悪い時期に、ウイルスの世界的流行によりシーズン中断が余儀なくされたことは、奇しくもマドリーにとってプラスだったことは間違いない。

そして7試合でわずか2勝だった中にクラシコが含まれていたことにも触れておこう。

クラシコ勝利

リーグ戦でクラシコに勝利したのは約4年ぶり。

バルサに好き放題やられていたベルナベウでようやく勝利を取り戻すことができた。マドリーにとってはただの勝ち点3ではない、非常に大きな意味のある勝利だろう。

最終的には勝ち点5差で優勝となるわけだが、この勝利が大きく優勝を近づけたのは言うまでもない。

シーズン再開、怒涛の快進撃

3/7第27節ベティス戦を最後にシーズンは中断。その後5月にトレーニング再開が許可され、6/14に再開後初戦となる第28節エイバル戦へと臨むこととなった。

シーズン中断前に危機に陥りかけていたチームとは打って変わって、再開後は破竹の10連勝。堅守は復活し、1点差ながら勝利をもぎ取り続けた。

そして最終節前の第37節ビジャレアル戦に2-1で勝利し、3シーズンぶり34回目のリーガ優勝。

特例で導入された5人交代制も、中盤~前線の絶対的スタメンが定まっていない分選択肢の多いマドリーにとってはプラスに働いたのかもしれない。

とにかくシーズン再開後残り11節のマドリーは指揮官ジダンを中心として本当に勝負強いチームであった。

ラウンド16の壁再び

1stレグを1-2で落として迎えたマンチェスター・シティ戦2ndレグ。

リーガ優勝を果たしこの勢いでCLも、、と感じていたマドリディスタは多いだろう。

しかし欧州最高の舞台は甘くはなく、ましてや痛恨のミスを2度も犯してしまってはCL制覇は程遠い。累積警告で欠場となったラモスの存在の大きさが浮き彫りになった試合だった。

もちろんミスはヴァランだけの責任ではないし、そのミスを誘発した相手を誉めるしかない。

2004-05から2009-10まで6年連続ラウンド16で敗退し続けたマドリー。その壁が再び立ちふさがろうとしているのかもしれない。

悪夢だった前年2018-19シーズンから、国内タイトルのリーガ、スーペルコパを獲るまでに立ち直った今季。そしてジダン2次政権の2シーズン目となる来季に壁を超えることができるのか、真価が問われるところだ。

プレーヤー評

アレオラ

出場機会は少なく、スタメン争いの余地もなし。それでも不満などが漏れ聞こえることはなく誠実に2ndキーパーを務めてくれたことに感謝。

クルトワ

マドリー2年目で完全に信頼を勝ち得た守護神。最少失点チームを支え、個人ではサモラ賞獲得と文句なしの活躍。

カルバハル

不動の右サイドバック。それは2013年からずっと変わらない。今季も期待にたがわぬ安定感と存在感。

ミリトン

ラモス、ヴァランの壁は厚く出場機会は限られていたものの、与えられたチャンスは十分に活かした。未だジダンの信頼度は不確かだが来季に期待が持てるパフォーマンスは披露した。

セルヒオ・ラモス

相変わらず頼れるカピタン。ベンゼマに次ぐ得点数であり攻守で活躍。シティ戦不在の影響は大きく、まだ数年ラモスに頼らざるを得ないと感じたシーズン。

ヴァラン

シティ戦の失態だけが今季の彼の印象を汚してしまった。シーズンを通してラモスとは最高のCBコンビ。

ナチョ

鉄人だった彼も負傷離脱が増えシーズン通して存在感は薄かった。バジャドリー戦ではチームを救う決勝点も。

マルセロ

シーズン通してメンディと良いローテーション関係だったが、最終的にはスタメンを奪われることに。それでも大方の予想ではベンチとされていたクラシコでスタメン抜擢され、メッシを止めて吠えたシーンは印象的。

オドリオソラ

公式戦5試合の出場のみで冬バイエルンへレンタル。マジョルカ戦の失態もありジダンの信頼は低いか。なお個人では5冠。

メンディ

新戦力で一番当たりの補強となった。マルセロからポジションを奪い、今後何年もマドリーでスタメンを張れる可能性を感じる活躍。

クロース

バルベルデの台頭も彼の地位は揺るがなかった。今季は多くの得点に絡み、多くがゴラッソであった。

モドリッチ

シーズン前半はコンディションが振るわずバルベルデに定位置を奪われるも、終盤に返り咲き。シーズン再開後はさすがバロンドーラーというプレーぶり、まだまだマドリーで見たいと思わせる存在感。

カゼミロ

代えの効かない唯一無二の選手。リーガを獲れたのは彼が負傷せずにいたからと言っても過言ではない。カゼミロ代役をどうするかはチームとして抱えている大きな問題。

バルベルデ

今季最大のサプライズ。彼の活躍がチームを勢いづけたのは間違いない。さらに彼の存在がモドリッチを蘇らせた可能性も。今後10年マドリーの中盤を支え得る存在。

ハメス

存在感なし。序盤こそ主力の負傷離脱で出場機会を得ていたものの徐々にフェードアウト。ジダンとハメスの関係は開幕前からわかっていたことだが、クラブに移籍を許可されなかったというところは同情してしまうところ。

イスコ

出場機会は決して多くないもののビッグマッチでは抜擢。しかし終盤に向けて序列は低下傾向に。

アザール

目玉補強でもあったが完全に期待外れ。ベンゼマと良い連携を見せる場面もあるものの、FWで1得点のみは擁護できない。11月PSG戦の負傷で長期離脱以降足首の痛みに悩まされ続け、トップフォームに戻れるかも不明。来季はどうにか復活してほしい。

ベンゼマ

絶対的エース。カゼミロと並んで替えが効かない存在。今季のチーム内MVPを決めるなら彼だろう。

ベイル

完全に戦力外。第3節ビジャレアル戦ではチームを救う2ゴールを決めるが、それが今季のピークだった。ハメス同様、ジダンとの関係は始めからわかっていたが、今後の去就は如何に。

バスケス

例年クローザーとして役割を果たしてきたが、今季怪我もあり存在感は薄かった。ウイングのポジションは飽和状態で、来季出場機会を得られるかは難しいところ。

ヨビッチ

アザールと共に大きな期待外れ。2ゴールのみと求められていた結果とは程遠い。与えられた時間は短かったが、ベンゼマがいる以上来季も出場機会は限られる。少ないチャンスを活かせるだろうか。

アセンシオ

プレシーズンに大怪我で11カ月の離脱も、シーズン中断が味方し終盤に復帰。限られた試合数で3ゴールと結果を残した。復帰したバレンシア戦のファーストタッチゴールは感動もの。

ブラヒム

戦力が余っているウイングのポジションで出場機会をほとんど得られず。来季はレンタルで成長か。

マリアーノ

シーズン通してほぼ戦力外。結果を残せずにいたヨビッチよりも序列は低かった。クラシコのゴールは今季彼の唯一の見どころか。

ヴィニシウス

シーズン前半は後輩のロドリゴに話題をかっさらわれたが、後半に向け存在感を発揮。不調のアザールより崩しの面でより危険な存在であり、守備面での貢献も前年より増した。不運ながらジダンの序列は覆らなかったが、引き続きアザールとの定位置争いに注目だ。

ロドリゴ

バルベルデに次ぐ若手のサプライズ。出場機会が安定しているわけではなかったが、不甲斐ないFW陣の中でベンゼマに次ぐ得点数。CLガラタサライ戦のハットトリックはマドリーでのキャリアの一歩目として記憶されるだろう。

ジダン監督

MVPはベンゼマと前述したが、監督まで含めるならジダンかもしれない。若手にも出場機会を与え、うまく戦力に取り込んだ。ベイルやハメスら出場機会が少ない選手についても、彼らも戦力であると会見などで断言。騒ぐメディアの対応もさすがのものだった。シーズン再開後リーグ10連勝はジダンの監督キャリア初でもあり、優勝がかかったこのタイミングで成し遂げるあたり、さすがジダンと言うしかない。来季こそはCLラウンド16の壁を越え、ビッグイヤーを掲げてほしい。

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